Necessary and sufficient

新作Nylon Crossover Electricのフレンチポリッシュを養生している間に、たまってきた修理品をこなしています。

 

今日はFranklinギターの修理をしました。

Nickさんのギターはトラスロッドが特徴的で、市販の(専用)工具では調整できないようになっています。というのも、氏のギターはネックエンド側にトラスロッドのナットがついているのですが、StewMacなどの工具ではどうしてもトップ板、ブレイシング、ボルトオンジョイントのナットと干渉してしまうのです。

今回はネック周りの修理で、ロッド調整が必須だったため、簡易の工具を作りました。

 

工房にころがっていた使っていないスパナを改良します。

f:id:RyosukeKobayashiGuitars:20171219143619j:image

 

時間をかけてかっこいい工具を作りたい気持ちに駆られますが、使用頻度は低いので仕事をすればOK、見たくれは気にしません。

 

削っては確認しての繰り返しで、最終的にこんな形になりました。

なかなか、なかなかな形です。ダ、ダサい.....!!

f:id:RyosukeKobayashiGuitars:20171219143530j:image

 

しかし、どこにも干渉せずにきちっと仕事をしたのでよしとします。 

f:id:RyosukeKobayashiGuitars:20171219143638j:image

 

市販の工具ではトラスロッドを回せないという意味で、このギターは調整のしやすさという点ではイマイチと言えます。しかしこの「調整のしやすさ」 というのは非常に落とし所が難しい問題です。

 

というのも、「調整がしやすい=誰にでもいじりやすい」ので、製作家の意図に反して手を加えられる可能性が高くなるからです。

全てのギターが必ずしも腕の良い製作家やリペアマンの手によってメンテナンスされるわけではありません。また、良くしようと調整したつもりが思わぬ結果を招くこともあります。さらに言えば個人製作家の場合、その箇所ごとではなくギター全体で設計している場合もあるので、そこを理解せずにある一箇所をいじると全体のバランスを損なうこともあります。

 

こう書くとなんだかネガティヴに聞こえますが、僕はむしろそこにこそ手工ギターの楽しさがあると思います。個性的なギターが数ある中で、弾き手とギターはまさに一期一会の出会いです。じっくり弾いてその個性を理解してやり、性能を引き出したり育てることにもまた楽しみがあるのではないでしょうか。

使い込んで手や体に馴染むギターというのは、何物にも変えがたい価値がありますよね^-^